Miami 95, Dallas 92
ウェイドMVP! ヒート、悲願の初優勝!

ダラス、6月20日:
ドウェイン ウェイドがまたしてもクラッチパフォーマンスを披露し、マイアミ ヒートを初優勝に牽引。シャキール オニールパット ライリーコーチの経歴を一層輝かしいものにさせるとともに、真のスーパースターに成長した姿を見せつけた。ヒートが王手をかけた第6戦、95-92とダラス マーベリックスを制して、2連敗後4連勝を飾るという劇的なカムバックを完成させた。

 
 
ファイナルシリーズすべてで第4Qを支配し、第6戦でも36得点中11得点をあげ優勝に導き、MVPも受賞したドウェイン ウェイド。
Andrew D. Bernstein/NBAE/Getty Images
「フィフティーン ストロング」のモットーの下、ライリーコーチ率いるヒートは、プレイオフで最後4連勝を飾って優勝に必要な16勝をマーク。自分たち以外全員の予想を覆してマーべリックスを6戦で退け、悲願のタイトルをものにした。

「うちには強力な15人のメンバーがいる。フィフティーン ストロングが達成した優勝だ」とコーチはチーム全員を称えた。「全員が達成した優勝だからこそ嬉しい。我々は一時としてお互いを信頼しないことはなかった。何が起ころうと、ロッカールームでは15人が結束した」とウェイドはチーム全員で掴んだ優勝だと強調した。

0勝2敗とリードされて始まったファイナルの驚くべき逆転劇は、第3戦の第4Qから始まった。ヒートは過去1969年のボストン セルティックスと1977年のポートランド トレイルブレイザーズしか達成していない2連敗からファイナルを制するという快挙を成し遂げ、敵地での第7戦を避けることに成功した。

ヒートの奇跡の逆転劇を担ったウェイドは、2003年の輝かしいドラフト組の中で優勝に導いた一番手となった。全体第5位指名でヒート入りしたウェイドは、わずか3年でヒートを初タイトルに導いたことになる。スーパースターのチームメイト、シャックが年齢による衰えを感じさせる中で、ウェイドはチームの大黒柱としてチームを牽引し、ファイナルMVPの栄誉にも輝いた。そして子ども時代からのヒーローであるマイケル ジョーダンの最新かつ最もふさわしい後継者としての姿を印象づけた。

「自分の父親の他に、ジョーダンは2番目の父親のように思ってきた。なぜならいつもプレイを見ていて自分がマイケル ジョーダンの一部のように感じたからだ。比較されるのは嬉しいが、同時に自分はいつもしないようにしている。新たなジョーダンというのは決してありえないからだ」とウェイドは話した。

「ウェイドは勝ちたいという強い意志が強かった。ジョーダンのようなそういうプレイヤーは多く見てきた。史上多くの選手があのような素晴らしいパフォーマンスをしてきた。我々もウェイドに対して多くの策を講じたが、彼の強い願いが優勝を呼び寄せた」と、マーべリックスのエイブリー ジョンソンコーチも認めざるを得なかった。

ウェイドは相次ぐ怪我や病気、疲労、群がるディフェンダーを克服して、ファイナルで1試合平均34.7得点をマーク。それにはホームでの3連勝中の40.3得点という信じられない平均得点も含まれた。しかも一度目にしたら忘れられない数々のムーブ、天賦の才能による劇的なプレイを、臆することなく見事な形で成し遂げ、マーべリックスはそうしたプレイに全く太刀打ちできなかった。

「ああいうプレイには教えられないこともある。プレイヤーがああいうプレイをするときは、トリッキーなプレイはない。ウェイドはダブルチーム、トリプルチームを打ち破ってくる。そこにはトリックはない」とジョンソンコーチ。「ウェイドは自分のプレイをもう1つ上のレベルに引き上げた。みんなが目にしたはずだ。ああいう選手を手に入れるのは本当に難しいことだ」とライリーコーチも称賛した。

ウェイドはこの優勝を決めた第6戦でも36得点をマーク。うち第11得点を第4Qに記録し、接戦ゲームすべてで最終クォーターにビッグプレイを決め、クラッチタイムに強いことを示した。全体で18本中10本のショット、21本中16本のフリースローを決め、ラインに繰り返し立って決めていった。またリバウンドも10奪い、ファイナルMVPを3度受賞したシャックがわずか9得点、12リバウンドに終わったのをカバーした。

「自分はこの若いやつ(ウェイド)がいるからマイアミに来たんだ。あいつは特別なプレイヤーだと思った。初めて見たときから、何か特別な才能を持つやつだと分かった。だから自分の仕事はあいつを良くすることだった」とシャックも若きウェイドの成長を喜んだ。

またこの優勝はライリーコーチにとっても再び頂点の座へ返り咲く特別なものとなり、5個目のリング獲得となった。1988年にロサンゼルス レイカーズを優勝に導いてから初の優勝となり、その年にヒートはNBAに加入した。以前の4度の優勝とは異なり、今回の優勝は実質11年前に始まった新たな旅が目的地に辿り着くという喜びともなった。

「私はこの優勝と引き換えならこれまで獲得したリングを手放していただろう。18年間、何度も何度も優勝を追い続け、疲れ果てた。だからこうして優勝できて追い続けることをようやく止められる自由を手に入れた感じがする。ゆえに余計に特別なんだ」とライリーコーチは喜びを隠せなかった。

昨夏、そのライリーコーチがヒートのプレジデントとしてロスターを見直してメンバーを整え、12月にはスタン バン ガンディに代わってコーチに就任。ヒート優勝へ進む責任をすべて請け負った。こうして再びNBAの頂点に導いたコーチは、まだまだやれることを示した。

ライリーコーチは現在も1985年の優勝リングを指にはめている。その年ロサンゼルス レイカーズはロード第6戦で優勝を飾り、ボストンガーデンでの第7戦を回避した。今季も同じ結果になることを願い、「スーツ1着、シャツ1枚、ネクタイ1本。それだけしか持ってこなかった」と話した。

しかしマーべリックスは、ライリーコーチをデパートに走らせることも、第7戦を強いることもできなかった。序盤の14点リードを失い、後半は一度もリードを奪えず、輝かしいシーズンを悲惨な結果で終わることになった。

今季のマーべリックスは肉体的にも精神的にもタフさを増して、フランチャイズ史上初のファイナル進出を果たした。だがリーグ最高となるファイナルの舞台で、自己満足、注意散漫、標準以下のプレイに陥り、ここまで到達した力を発揮することができなかった。「悩むことになりそうだ」とガードのジェイソン テリーも認めた。

スーパースター、ダーク ノビツキーに牽引されたマーべリックスだったが、ノビツキー自身がファイナルで本領発揮とはいかず、3勝0敗とする目前でその第3戦を落とした。それ以後マーべリックスは負け続け、今季一度も経験したことのなかった4連敗を喫して無残な形で終わりを告げた。「あの第3戦を落としたことが痛かった。あれでシリーズの流れが完全に変わった。あの後、向こうは自信をつけ、どんどん良くなっていった」とノビツキーは振り返った。

「この夏は本当にきつい夏になる。だが選手たちがもっとハードに練習することを望んでいる。自分ももっといいコーチになり、もう一度トライしたいと思っている」とジョンソンコーチは話し、ウェイドも「ダラスはいいチームだ。絶対に来年も戻ってくるだろう」とコメントした。

試合はノビツキーとテリーが牽引して26-12とマーべリックスリードで始まった。だがこのシリーズで時折見られたように、そこで安心したように見えた。対するヒートはシャックを座らせてウェイド中心のスモールラインアップを採用。ウェイドは次の6分少々で13得点をあげ、第2Q残り9分6秒には31-32の1点差に追い上げた。

しかしマーべリックスも再びクィックネスを生かして、マーキス ダニエルズの速攻からのダンクで残り3分31秒には46-36と再び10点リード。だがヒートも再度スモールラインアップで13-0と猛反撃を開始し、シャックに代わったアロンゾ モーニングのトランジションからのダンクで、遂にこの試合初の逆転に成功した。

ヒートが第3Qもその勢いを持続させたのに対し、マーべリックスはファウルトラブルに陥り、ジャンプシュートに終始したが決まらなくなった。その間にウェイドはノビツキーのショットをブロックした後、バンクショットも決め、モーニングも連続ブロックの後、ダンクを炸裂させて、68-59のリードに導いた。

第5戦を出場停止処分で欠場したジェリー スタックハウスが復帰したが、ファウルトラブルで精彩を欠いた。窮地に陥ったマーべリックスをマーキス ダニエルズがすぐに6得点をあげて救い、68-71の3点差に追い詰めて第4Qを開始。ダニエルズの2本のフリースロー、スタックハウスの3ポイントへのアシスト、驚異的なバンクショットという獅子奮迅の働きで、マーべリックスも残り7分6秒に79-79の同点に追い上げた。

だが17得点、10リバウンドと大奮闘したウドニス ハスレムのジャンパーで、ヒートが再び先行。ウェイドの3本のフリースロー、ジェイムス ポージーの3ポイントへのアシストで、残り3分43秒にはヒートが87-81と差を広げた。「ポージーがオープンなのは分かっていた。向こうは後半自分にボールを持たせないようにしてきた。何か違うことをしなくてはいけなかった。だからポージーにシュートする準備をするように、毎回打つように言った」とウェイド。「この試合の最大のプレイは、ウェイドがポージーを見つけボールを回したときだった」とライリーコーチも話した。

ここで負ければシーズンが終わるマーべリックスも必死に抵抗し、スタックハウスが残り1分37秒に3ポイントを成功させて88-89と1点差に追い上げた。だがハスレムがフォローショット、ウェイドもジョッシュ ハワードのジャンパーにフリースロー2本で応戦し、残り26秒に93-90と3点リードとした。

マーべリックスがボールを託したノビツキーはエリック ダンピアーのピックを使ったが、そこからダンピアーにパス。だがボールはダンピアーの手に跳ね返って外に出て、ウェイドがまたフリースロー2本を決めて95-90の5点差に。ハワードがフリースロー2本を決めた後、ウェイドがフリースローを2本とも外して3点差となり、残り10.3秒にマーべリックスに大きなチャンスが巡った。テリーがすぐさまアップコートにドライブし、ファウルされるのを避けてオープンな3ポイントを放ったが決めることはできず、ウェイドにリバウンドを取られて万事休すとなった。

ヒートではアントワン ウォーカーも14得点、11リバウンド、モーニングも8得点、6リバウンド、5ブロックと大きな援護をした。フリースローを14本(37本中23本)、3ポイントも16本(18本中2本)外したが、44.9パーセントのシュート成功率(78本中35本)を記録し、リバウンドも56-50と制して勝利をものにした。

ホームのファンの前で惜しくも敗れ去ったマーべリックスでは、ノビツキーが29得点、15リバウンドを記録したが、第4Qは1本も決めることはできず。ハワードも14得点、12リバウンド、スタックハウスとダニエルズもそれぞれ12得点と健闘。だがチーム全体で3ポイントは22本中5本しか決められず、シュート成功率も37パーセント(92本中34本)に終わり、ここまでの快進撃を支えた自慢のオフェンスを発揮することはできなかった。

去年ファイナル第7戦で敗れ去り、今季リーグトップの勝率をあげて打倒サンアントニオ スパーズを目指したデトロイト ピストンズをも倒したヒートが、2連敗から4連勝を飾って初優勝を達成。悲願のリングを遂に手にしたモーニング、ゲイリー ペイトンらの喜びとともに、2005-06シーズンはこうして幕を閉じた。