NBA FINALS 2006
ファイナル2006 こぼれ話
By Masayoshi Niwa

ファイナル2006はマイアミ ヒートの優勝で幕を閉じた。ドウェイン ウェイドのMVP受賞は、NBAに新たなスターの誕生を予感させた。またアロンゾ モーニングゲイリー ペイトンの積年の願いであったチャンピオントロフィーが彼等の腕の中に収まったときは、過去のNBAを知る人間とって必涙の瞬間だったに違いない。さてこのファイナルでも様々な名言やサイドストーリーが生まれている。取材現場から紹介しよう。

 
 
アリーナ中が白一色。ファンを巻き込んだ戦略が功を奏した?いずれにせよ、ファンの一体感は達成された。
Ronald Martinez/Getty Images/NBAE
1. ホワイト ホット

マイアミでの試合を見ていると、「どうして観客はみんな白い服を着ているの?」と思ったかもしれない。

実はこれ、ヒートのマーケティング・ディレクターによる仕掛け。

「ヒートのファンなら、白い服を着てそれを示そう」と、プレイオフ前に呼び掛けたという。

もちろん、スポンサーも協力して、試合前には「White Hot」とプリントされたTシャツを配っている。

ちなみに、一昨年のテーマカラーは「黒」、昨年は「赤」だったそうだが、赤は企画倒れ。そのマーケティング・ディレクター苦笑した。

「あまり赤い服を持っているお客さんがいらっしゃらなくて」

2. アンダーソローはやはりダサイ?

ようやく決まり始めたシャックのフリースローだが、全く入らなかった先週は、色々な人から、「コーチをしてやる」という申し出があったそうだ。

そんな一人が、殿堂入りしている、リック バリー。現役時代、NBA10年でのFT%は90%ちょうど。コーチとしては申し分のない数字だが、シャックが首を振らなかったよう。

実は、バリーのフリースロースタイルはアンダースロー。ちょうど股の下から、放り投げる感じ。同じようにフリースローに苦しんだW・チェンバレンはそれを試したが、シャックはどうも、それをカッコ悪いと感じていているらしい。確かにその気持ち、分かるような・・・。

3. メールOK ルームメート禁止?

ヒートのドウェイン ウェイドと、キャブスのレブロン ジェームスは親友。TVCMでも共演し、私生活でも頻繁にEメールなどをやり取りしている。ファイナル期間中はその頻度も増え、ジェームスからウェイドに、何度も励ましのメールが入ったという。

そんな仲の良さを隠さないウェイドに対し、メディアがパット ライリーヘッドコーチに尋ねた。

「ライバルなのに、あまり仲が良すぎるのはどうなんでしょう?」

すると、こうライリーHCは切り返している。

「まあ、それぐらいならいいんじゃないか。ルームメートになりたい、なんて言い出したら、ちょっと困るけど(笑)」

 
 
シャックのフリースローが明暗を分ける試合が少なからずあった今シーズン。この課題はシャックの永遠のテーマなのかもしれない。
Nathaniel S. Butler/NBAE/GettyImages
4. 誰のヨット?

ヒートのアリーナの東側には、ヨットを泊めるスペースがある。マイアミで行われた初戦のゲーム3には、両チームのオーナー、ミッキー アリソンとマーク キューバンが、それぞれヨットでアリーナに現れたと、地元紙に載っていた。その中には、キューバン所有のヨットの種類まで特定されていたが、キューバンは自身のブログでこう否定している。

「自分はヨットなんて持ってないのに」

実はそのヨットが、タイムアウトのときに、スコアボードの大型画面に映し出されていた。そしてそのヨットを、ヒートのマスコットが破壊するという趣向のCG映像が流れ、ファンは拍手喝采。文字通り、撃沈である。しかしキューバンは同じくブログで触れた。

「本当のヨットのオーナーがかわいそう」

真相やいかに。

5. ラストチャンス

おそらく、アロンゾ モーニングゲイリー ペイトンにとっては、NBAのタイトルを目指す最後のチャンスだった。しかし、両選手のアプローチがまるで違う。モーニングはコートに出ると、そのエネルギーを全面に押し出してプレー。ときにそれが、空回りするほどだ。

一方のペイトンは、冷静そのもの。「もう37才だから」という言葉は、以前のコラムで紹介したが、本当に静かに、淡々とタイトルを目指していた。

ただ、いずれもラストチャンスは理解しているだけに、寂しさも漂う。かつては、一世を風靡した選手たち。キャリアの最後で、もう一度輝くことが出来たのだ。

6 ビッグスピーチ

ライリーHCは、選手をやる気にさせる、素晴らしいスピーチテクニックを持っている。今回も2連敗したときに、何らかのスピーチがあったと思われたが、本人はもちろん、選手も否定した。

地元で2連勝をしたあと、再びメディアがウェイドに聞く。

 
 
ヒートのために長年働いてきたモーニングがずっと欲しかったもの。それが今、彼の手中にある。
Andrew D. Bernstein/NBAE/Getty Images s
「ライリーは、どんな言葉で君たちをやる気にさせたのか?」

するとやはりウェイドは、こう言っただけだった。「本当に何もない。彼が言ったのは、これだけのこと。『ファイナルなんだ。なのにやる気を出させるような言葉が必要なのかい?』」

襟を正すには、それで十分な気もする。

7. バケーション?

ゲーム4の試合前、メディアの前に姿を見せたライリーHCは、こんなジョークを言っている。

「みんな、顔色悪いよ」

実際は逆である。メディアの人間も、すっかりマイアミでくつろぎ、顔が日に日に黒くなっている。ライリーHCはそれを皮肉ったのだ。

しかし、そんなバケーション気分は、選手も感じていた? いや、少なくともマブスのエイブリー ジョンソンHCはそれを感じ取り、ゲーム4のあと、チームの宿泊先をマイアミから、車で45分ほど離れたホテルに移してしまった。

ある意味、凄い決断である。

8. ベストコメント

ジェリー スタックハウスから激しいファールをされてシャックが言った一言。

「俺の娘のタックルの方が激しいぜ」