NBA FINALS GAME 6
祭りのあと
By Masayoshi Niwa

戦前、ダラス マーベリックス有利の声が多かっただけに、こういう形での決着は予想外。実力というより、マイアミ ヒートの“勢い”が勝ったか。

 
 
ヒート優勝の立役者シャック、ライリーHC、そしてMVPを受賞したウェイド。
Andrew D Berstein/NBAE/Getty Images
この日、前半はマブスのペースだったが、第2Qの終盤、残り1分を切って最大14点もあったリードを失うと逆転を許し、後半は常に5点前後のビハインド。最後は3点差になったものの、その得点差以上に両チームの差は開いていた。

パット ライリーHCにとっては、5度目のタイトル。シャキール オニールにとっては4度目。引退が噂される、アロンゾ モーニングゲイリー ペイトンは初のチャンピオンシップ。

ライリーHCが、ヒートのヘッドコーチに就任した1995年、まず仕掛けたのがモーニングの獲得だった。その後、モーニングは腎臓移植を経験するなど、そのキャリアには紆余曲折があったが、ライリーHCはだからこそ、モーニングについて聞かれて目に涙をためた。

「彼は私にとって、やはり特別な選手。このタイトルは、だからこそ、特別でもある」

シーズン前、そのライリーHCは、ビッグトレードの引き金を引き、ジェイソン ウィリアムスアントワン ウォーカー、ジェームズ ポージーらを獲得した。しかし彼らは、それぞれにクセがあり、トレードそのものを疑問視する声が上がっていた。しかしながらライリーHCは、彼らの能力をうまくコントロール。各選手をチャンピオンシップパスルのピースに仕上げた。

ライリーHCは、振り返る。

「あいつら(ウォーカーら)は、他のチームで厄介者扱いされていた。こちらにもリスクはあったが、それぞれの能力を引出してやれば、チームにフィットすると思った。実際、そうなったんじゃないかな」

しかし、ファイナルピースという意味では、彼自身がファイナルピース。12月中旬にヘッドコーチに就任すると、5割前後で苦労していたチームを頂点に導いたのだから。

2年前の夏、シャックがレイカーズから移籍したとき、ファンに約束している。

「俺が、チャンピオンシップをこのサウスフロリダに持ってきてやる」

ドウェイン ウェイドには、直接電話をかけた。「おい、一緒にチャンピオンを目指そうぜ」

シャックは、わずか2年でその公約を実行。だが、「俺のおかげ」とは言わなかった。「フラッシュ(ウェイドのニックネーム)がいてくれたからだ」

MVPには、そのウェイドが選ばれた。シャックはこれまで、3度のファイナルMVPを獲得しているが、今度ばかりはウェイドに譲るしかなく、デビット スターンコミッショナーがトロフィーをウェイドに渡そうとすると、それをシャックが奪い取って、ウェイドに渡した。

「お前こそが、最高の選手だ」

 
ファイナル初出場となったマブスとノビツキー。敗戦の結果をかみ締め、来年のファイナルへの道のりが今日からスタートした。
Andrew D Berstein/NBAE/Getty Images
 
さて、前回も触れたが、ウェイドは「このチームは、クリスマスプレゼントのようなもの。開けるまで何が入っているか分からない」と話した。

その箱には…、チャンピオンシップトロフィーと、MVPトロフィーの2つが入っていた。

「こんなプレゼント…。もちろん、今までで最高のプレゼントだ」

ところで、シリーズの勝敗は、何が分けたのか。

マブスのシャックに対するディフェンスは成功。ダブルチームを多用し、見事平均点を、15点以下に抑えた。しかし、ウェイドに対しては、ダブルチーム、ゾーンでも止められなかった。

ヒートは、ノビツキーを抑えることに成功した。ダブルチームを中心にディフェンスを組み立て、1対1でも、ヘルプを効果的に使いながら、ノビツキーをペイントの外側に追いやった。

ただ、そんな戦術的なことよりも大きな要素は、クラッチタイムの強さ。ウェイドが、例えばゲーム5で抜群の勝負強さを見せたのに対し、マーベリックスの選手はゲーム3以降、試合終盤になると固くなった。例えばノビツキーは、ゲーム3で決まれば同点というフリースローをミス。ゲーム6でも第4Qは4本のシュートを放って、すべて失敗。この勝負の最終Qでは、2点しか挙げられなかった。

ただ、来年もファイナルに来る可能性としては、マブスの方が高いだろう。これで、ファイナルのプレッシャー経験も得た。若い選手が多く、若いエネルギッシュなヘッドコーチがいる。

ヒートが、もう一度タイトルを狙うために、さらに大きなトレードが必要。モーニング、ペイトンらの去就次第だが、現戦力では、年齢的な問題もあり、連覇には同じ条件は揃わない。

だからこそこの夏、またライリーHCの動きにも注目だ。

シーズンが終了した。素晴らしいシーズンだった。今はただ、祭りのあとの寂しさに似たり。