クリーブランド、5月22日:マイケル・ジョーダンはクリーブランドのスポーツ史上、もはや最も有名なブザービーターを決めた選手ではなくなった。ジョーダンがクレイグ・イーローの上から決めた“ザ・ショット”は、今でも語り継がれる有名なショットだが、レブロン・ジェイムスがそれを上回るショットを決めた。 残り1秒、93-95と絶体絶命の窮地に追い込まれたクリーブランド・キャバリアーズが必要としていた奇跡を、レブロンがもたらした。残り1秒に先行の逆転打を決めてヒーローになりかけたオーランド・マジックのヒドゥー・ターコルーの上から、フェイダウェイ・3ポイントを成功させて96-95の大逆転勝利に牽引。土壇場でイースタン・カンファレンス・ファイナル第2戦の勝利をもたらし、シリーズを1勝1敗のイーブンとした。 奇跡のショットはジョーダンと自身の背番号23と同じ、23フィートの距離から決めたものとなった。キャブズのフランチャイズ史上初のまさにMVPショットとなった。「ジョーダンはもうリーグにはいない。もう1人の23番が今は活躍する」とレブロンは笑顔を見せた。 モウ・ウィリアムスからのインバウンドパスを受け取ったレブロンには、肩をリングに向けて打つしか時間の余裕はなかった。ショットがネットに吸い込まれると、チームメイトの腕の中に飛び込みもみくちゃにされた。寸前には絶望感に陥っていた20,562人の満員のファンは喜びを爆発させて互いに抱き合った。「大歓声しか聞こえなかった。ファンはそれに値する。あれは自分がこれまで決めたショットの中でも最高のショットだった。1秒というのは他の選手には短いかもしれないが、自分には長い時間だ。子どもの頃、ああした瞬間のために練習した」と言う。 過去にはこのようなショットは、相手チームがキャブズに対して決めるものだった。マイケル・ジョーダンが1989年に決めた “ザ・ショット”で、キャブズはプレイオフ敗退を強いられ、今でもファンには痛恨のトラウマとなっている。だが現在レブロンが、クリーブランドですべてを変えている。 レブロンのショットの1秒前には、ターコルーが3.6mのショットを決めて95-93とし、キャブズを絶体絶命の窮地に陥れた。前半には23点もリードしていたキャブズは、タイムアウトを取り、リーグMVP 、レブロンのプレイをセットした。レブロンはターコルーに対して少しスペースを作ろうとバスケットに突進した後、サークルのトップ近辺まで後退して、キャリア最高のショットを放った。レブロンのこの試合唯一の3ポイントが決まるのを見たウィリアムスは、膝まづいて右手でフロアーを叩き続けた。「感極まって動けなかった」と話した。 審判はリプレイを見て、そのショットがカウントされるべきか確かめたが、疑いの余地はなかった。「0勝2敗になるわけにはいかなかった。素晴らしいショットだった。これで第3戦の準備だ。やることがたくさんある」とレブロンは早くも第3戦を見据える。第3戦は24日にオーランドで行われる。だがそこではキャブズは今季のレギュラーシーズン、マジックに2度とも負け、4月3日の試合では29点差もつけられて大破されただけに周到な準備が必要となる。 勝利を目前で逃したマジックではラシャード・ルイスが23得点、ターコルーも21得点と健闘。ドワイト・ハワードは第1戦より20得点も低い10得点に終わったが、18リバウンドを記録した。キャブズではレブロンが35得点、ウィリアムスも19得点、ジドリューナス・イルガウスカスも12得点、15リバウンドと奮起した。 「ああいうシーンは前にも見たことがある。ヒドゥーがレギュラーシーズンに次々とビッグショットを決めたから、自分も負けないように次々に決めなくてはいけなかった。ラシャード・ルイスも第1戦で決勝打を決め、自分も第2戦で決めた」とレブロン。「打ったときに入ったと思った。だが絶対にはわからないものだ。審判は確かめなくてはいけなかったが、カメラは嘘をつかない」 試合はキャブズが第2Qには23点もリードしたが、ハーフには12点差に追い上げられた。第3Q終わりには6点差とされ、第4Q残り6分12秒にはルイスにショートジャンパーを決められ、84-84の同点とされた。 試合前にレブロンがいつも行う有名なハンドパウダーが頭上で霧散するように、キャブズのシーズンはまさに消えかかる寸前となってきた。オフェンスは調子が出ず、ディフェンスはいつもの水準にはなく、マジックに2試合連続大量リードを追い上げられた。ターコルーの残り48.7秒の3ポイントで93-93の同点とされた。レブロンがハワードの上から左手でレイアップを決めてリードしたように見えたが、トラベリングをコールされて、ノーバスケットとなった。「レフェリーはいいコールをした。自分のミスを回復するチャンスが与えられて良かった」とレブロンは続けた。 ベンチ出場で9得点と貢献したサーシャ・ブヤチッチの上からターコルーに残り1秒に決められて2点リードされると、クリーブランドのファンにはジョーダンのショット、ジョン・エルウェイのドライブ、ザ・ファンブルと、45年もチャンピオンシップに見放されている街の断腸も思いのシーンが蘇った。だが近郊のアクロンの町で生まれ育ったレブロンが、キャブズのシーズンが遂に終わる可能性のあった自信を取り戻してくれた。 ほんの少しの間、ターコルーがヒーローになり、マジックは1995年以来初のファイナル進出に近づいたと見られた。だがレブロンがそれを許さなかった。ハワードは「ああいうショットは誰に決められてもショックだ。全員が見ている。今日は寝られそうにないし、チームメイトもみんなそうだろう。だがこれを乗り越えていかなくてはならない」と話した。 マジックのスタン・バン・ガンディHCは、ラストプレイでレブロンを守るためにした自分の決定に腹を立てていた。「あのショットですごく傷ついたのは確かだ。コーチの立場から言うと、あの最後の場面を戻して欲しい。違う形で守るべきだった。コーチとして負けて本当に厳しいが、自分が違う決定をしていればと思うともっと悔しい」と述べた。「ただ勝ちたかったし、勝つべきだった」と悔やんだ。
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