NBA トレード分析
トレードデッドラインの決断
By Masayoshi Niwa

昨年のトレード デッドラインでは、ドラマがあった。遠征先のダラスで、トレードを告げられたクリス ウェバーは、その夜、ホテルの部屋で“元”チームメートらとグラスを交わし、昔話に花を咲かせる。翌朝、誰にも「サヨナラ」を言わず、フィラデルフィアに向かった。

今年、そこまでドラマティックなトレードはなかったものの、23日のトレード デッドラインに合わせ、多くの選手がトレードされた。まずそれを、直前に決まったトレードも含め、以下にまとめた。

2月14日 スーパーソニックスが、ウラジミール ラドマノビッチをクリッパーにトレードし、クリス ウィルコックスを獲得。
2月22日 ニューヨーク ニックスがペニー ハーダウェイと、トレバー アリーザをオーランド マッジックにトレードし、スティーブ フランシスを獲得。
2月23日 スーパーソニックスがレジー エバンスをデンバー ナゲッツヘ、ビタリー ポタペンコをサクラメントキングスへトレードして、ナゲッツからアール ワトソンと、ブライアン ラッセル、2008年のドラフト2位指名権を獲得。
  ナゲッツがワトソンとラッセル、2008年のドラフト2位指名権をスーパーソニックスへ。バショーンレナードをブレイザーズへトレードして、スーパーソニックスからレジー エバンス、ブレイザーズからルーベン パターソンとチャールズ スミスを獲得。
  ブレイザーズはパターソンとスミスをナゲッツへ。セルゲイ モンヤをキングへトレードして、ナゲッツからレナード、キングスからブライアン スキナーをそれぞれ獲得。
  キングスは、スキナーをブレイザーズへトレードして、ソニックスからポタペンコを、ブレイザーズからモニアを獲得。
※以上は4チームによる9人のトレード。重複があるが、チームごとにまとめた。

同日

スーパーソニックスはロナルド マーレーをキャブスへトレードして、マイク ウィルクスとキャッシュを獲得
  ニューオリンズ/オクラホマ ホーネッツはボーストヤン ナックバーをニュージャージー ネッツにトレードして、マーク ジャクソンリントン ジョンソンを獲得。
  キャブスは、ドラフト2巡目指名権(いつのものかは未定)をトレードして、シクサースの2巡目指名権(これも、いつのものかは未定)とリー ネイロンを獲得。
  ロケッツは、デレック アンダーソンをマイアミ ヒートにトレードして、ジェラルド フィッチを獲得。

 
 
ここ数年低迷を続けるニックスだが、フランシス獲得というアイゼイアの決断が果たして吉とでるか凶とでるかは必見。
Ned Dishman/NBAE/Getty Images
ざっと見ると、精力的だったのはソニックスだが、各チームのトレード内容をみると、そのチームの現状が透けて見える。プレイオフを睨んだ動き、今年のプレイオフはあきらめても、将来への布石を打とうとする意図。

例えばナゲッツは、パターソン、エバンスという即戦力を獲得して、プレイオフでの戦いを睨む。二人はともに、カーメロ アンソニーケニオン マーティンのバックアップとしては理想的な選手だ。

対照的にソニックスなどは、ラドマノビッチ、ポタペンコ、エバンス、マーレーと、他チームに行けばローテーションプレイヤーとして通用する4人を、ほぼワトソン一人と交換。ポイントガードが手薄なだけに、ワトソン獲得には納得できるが、4人を出したことで、来季への仕切り直しをファンに伝えたようなものだ。

さて、トレードというものは、どんなトレードであれ、そうした2つの要素を持ち合わせているものだが、ニックスのトレードに関しては、どのどちらの色が濃いのか。

まだプレイオフをあきらめていない?来季への布石?

おそらく上記のセオリーに沿ってカテゴライズすれば、「来季に向けた動き」ということになり、彼らを交換要員にティンバーウルブスのケビン ガーネットを狙っているとも言われているが、それが現実的な話かどうか。ニックスの迷走は、残念ながらもうしばらく続きそうである。

 
チーム再建にむけて多くの選手を放出してまでワトソンを獲得したソニックス。チームの中心選手である二人はフロントのこの決断をどう受けとめているのだろうか。
Jeff Reinking/NBAE/Getty Images
 
一番動かなければいけない、プレイオフに向けて体勢を整えなければいけなかったヒートは、アンダーソンを獲得したにとどまった。昨オフのトレードで獲得したアントワン ウォーカージェイソン ウィリアムスが、チームのシステムにフィットしておらず、彼らの処遇に加え、アウトサイドシューターも探していたはずだが、効果的な手が打てなかった。

東地区では、ピストンズが独走。唯一彼らを止められるのはヒートと見られているが、「ちょっと手詰まり」という雰囲気を、誰もが感じ始めている。ただ、2年前のヒートは、3月に入ってから驚異的なペースで勝ち進み、プレイオフにも滑り込んだ。今のチームが熟成するのを、パット ライリーヘッドコーチ(HC)は、じっと伺っているのかもしれない。

個人的な勝ち組は、ナゲッツ。エバンスとパターソンが、プレーオフを勝ち抜くキーパーソンになるとは思えないが、実質的には、ワトソンを失っただけ。彼とてジョージ カールHCのスタイルにはフィットしていなかったから、実質的な痛手は、ゼロと言っていい。

負け組はソニックスで、多くの好選手を失ったものの、来季以降の構想に入りそうな見返りはワトソンだけと、トレード相手から足元を見られた。ゲイリー ペイトンを放出してレイ アレンを獲得するなど、過去にはいいトレードもあったが、今回に限っては、4人のタレントに対し、公平な見返りを得たとは言い難い。

いずれにしても、これで戦力は固定。フロントの戦いは、ほぼ終焉。NBAシーズンはいよいよ、コーチの手腕、選手の潜在能力を問う、残り6週間の戦いに入る。


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